みんなが知らない?筋膜リリースの真実。

みんなが知らない?筋膜リリースの真実。

SENSIBLE SOLUTIONS 横浜大倉山の整体ブログ。

筋膜リリースをご存知でしょうか?

筋膜とは、全身を覆って様々な器官を繋ぎ止めたり、支えたりしている、結合組織のことです。

筋膜以外では、靭帯なども結合組織でできています。

筋膜の癒着が、慢性痛の原因だということで、それを痛みを与えながら「徒手で剥がす」というのが筋膜リリースです。

しかし、その理論は科学的に考えて真実なのでしょうか?

実際、勉強熱心なセラピストは、筋膜リリースはもう古い理論であり、神経系に着目していると言います。

そして、そういう考え方の人がプロの世界では増えています。

いくつもの研究と視点から、筋膜リリースを科学的に読み解いていきましょう。

硬い筋膜を手で伸ばすことは無理。

筋膜には、伸びやすい疎性結合組織と、伸ばすことができない密生結合組織があります。

通常のマッサージや筋膜リリースでは発生しないような強い力じゃないと、硬い筋膜(密生結合組織)を伸ばすことは基本的にできません。

もしできたとしても、それは怪我をしたいうことになります。

炎症やリモデリングが起きて余計に硬くなる。

もし筋膜を強く引き伸ばしたりしたら、それは微小損傷に繋がる可能性があります。

リモデリングといって、余計に筋膜は硬くなってしまいます。

怪我や手術の後が、瘢痕化と言って硬くなりますが、あれと同じ現象です。

その周囲の血管や神経が、下手をすれば圧迫される可能性すらあります。

コラーゲンの半減期は300日かかる。

筋膜はコラーゲンという物質でできています。

そのコラーゲンを変化させようとしても、半分変化するのに300日はかかるという研究があります。

そもそも、覆ったり支えたりする組織なので、そう簡単に変化したら問題が出ます。変化しずらい組織が筋膜です。

筋膜の水分サラサラの変化は一時的。

筋膜やその周囲の水分は、ドロッとしたゲル状態ですが、擦るような摩擦刺激や熱刺激を加えると、さらっとしたゾル状態に変わると言われています。

しかし、その変化は数分で元に戻ってしまいます。

つまり、筋膜リリースの効果の理論としては、ほぼ意味がないということになります。

筋膜が歪むという仮説は何も根拠がない。

筋膜が歪むことで、様々な症状が出る、ということを言うセラピストもいますが、これは、何も科学的な根拠がない、主観による理論です。

手術や外傷以外で、筋膜の癒着や瘢痕化が起こる根拠が乏しい

筋膜の癒着を筋膜リリースで「剥がす」と言う理論をよく聞くかと思いますが、これも科学的な根拠はありません。

手術や怪我で筋膜が損傷して、瘢痕化したり周囲と癒着することはもちろんあります。神経とその周囲の癒着もあります。

また、生まれつきある部位の筋膜というか結合組織が、周囲と癒着している可能性もあります。ただ、これが何か問題を引き起こす可能性はとても低いです。

どちらにせよ、手術じゃないとリリースすることはできません。

日常生活の普通に起こりうる体への負担だけで、筋膜が癒着して、それが肩こりや腰痛の原因になるという、ちゃんとした研究はありません。

実際、英語で癒着という単語を論文検索しても、そう言った文脈での研究は全く出てきません。出てくるのは筋膜リリースをしている団体の、エビデンスレベルの低い研究のみです。

癒着が痛いとは限らない。

腹部の手術による研究があります。

術後に周囲の組織と癒着していても、それが痛みの原因とは全く限らないという答えです。(腸閉塞につながる場合は別)

つまり、「癒着=痛みの原因ではない」のです。

先ほどもお伝えしたように、傷跡が瘢痕化していても、痛みを訴えない方が多いという事実と同じことです。

麻酔下での筋膜リリースで変化が起こらない。

筋膜リリースのセラピストが、全身麻酔をかけた患者様に筋膜リリースをしても、なんの変化も起こらなかったという事実があります。

また、肩の可動域制限があっても、麻酔をしたら普通に肩が動いたとも書いてあります。

つまり、筋膜の癒着など筋膜の問題で肩が動かなかったのではなく、患者様の痛みや筋緊張という神経系の反応で、肩が動かなかったということなのです。

また、麻酔をして、筋膜リリースをしても変化がなかったということは、筋肉の緊張は、脳など神経系が出力を送っていたから筋肉が硬くなっていたということです。

筋膜リリースの多くは痛みを与える。つまりDNIC効果。

痛みを与えることで、一時的に痛みが減る効果のことを、DNICと言います。

筋肉の揉みほぐしであろうと、痛い筋膜リリースであろうと、その刺激で脳内に放出されるオピオイドという物質による鎮痛効果がその徒手の主な効果です。

一見、筋肉や筋膜など理論は異なれど、鎮痛の機序は実は同じということです。

そして、筋膜リリースのように、痛みを皮膚に与えるということは、皮神経へのダメージを与えるという点に注意しなければいけません。

筋膜ではなく、皮神経に注目すること

皮神経とは皮膚に分布している神経の束で、太いものだと2mmくらいあります。

痩せている方ですと、コリコリした感触の神経を触ることができます。

筋膜リリースで、皮膚を強く擦ったり、強く伸ばしたりすると、この皮神経にダメージを与え、皮神経が炎症する可能性があります。

もちろん強いマッサージも、皮神経を無視して押しつぶすので問題です。

皮神経は、肩こり、首こり、腰痛、脚や腕の痛みや痺れなど、全身の不快な症状の原因にもなります。

そう言った意味で、プロの間では皮神経を考慮するのが主流となって来ています。

そして筋膜は全身を覆っているスーツだと言いますが、はっきり言って、それよりも重要なのは1番外側にあり、全身を覆っていて、神経も沢山ある「皮膚」です。

筋膜よりも、皮膚。

そして皮膚には皮神経があり、情報を脳に送っている。

このことを忘れないでください。

まとめ

筋膜リリースは、筋膜の癒着をとったから効果を出しているわけではありませんし、筋膜が変化したから、効果が出たわけではありません。

主に痛みを与えて痛みを抑えるDNIC効果と、運が良ければ皮神経の炎症物質が流れるのでその皮神経効果の2点で、体が楽になるわけです。

実際には、優しくて痛みを全く与えない筋膜リリースもあります。それは良いのですが、ここまで読んだ方は分かると思いますが、筋膜リリースという単語はその施術方法には相応しくはありません。

ただ、よくある筋膜リリースのように、痛みを与える場合、皮神経へのダメージも大きいので、症状が悪化する可能性があります。(実際にそういう方は数名いらっしゃいました)

筋膜は単なる結合組織です。

徒手療法で気にかける必要はありません。

それよりも、皮膚にあり、筋膜を貫通していて、脳に直接繋がっている「皮神経にフォーカスを向ける」というのが、科学的な視点と言えます。

Reference(参考論文・文献)

・Three-Dimensional Mathematical Model for Deformation of Human Fasciae in Manual Therapy.

The Effects of Manual Therapy on Connective Tissue.

関節可動域制限 2 / 編集 沖田実

Fascial plasticity – a new neurobiological explanation

A fundamental critique of the fascial distortion model and its application in clinical practice.

・https://www.physio-network.com/blog/myth-busting-adhesions/

Laparoscopic adhesiolysis in patients with chronic abdominal pain: a blinded randomised controlled multi-centre trial

・http://www.massage-stlouis.com/blog/if-we-cannot-stretch-fascia-what-are-we-doing

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